1. はじめに

コンピュータプログラムのほとんどが英語による何らかの形式で書かれていると主張することは、 おそらく妥当なことでしょう。 確かに、人気のあるプログラム言語の多くが、言語のキーワードを想起するものとして英語を使い、 国際的な共同作業による多くのプロジェクトには、(もしかすると暗黙に) コメントやメッセージの表示に英語を使うように指示するガイドラインがあるでしょう。

そうは言っても、この惑星上の大多数 (そしておそらく他の惑星でも同様) は英語を理解しないし、 あるいは理解するとしても、他の日常生活で使う言語の方を好みます。 従って、可能な限り多くの人に使われることを望んでいる GNOME アプリケーションは、他の言語にも翻訳されていなければなりません。 この文書の執筆時点の GNOME 安定版リリースでは、 少くともいくつかの部分において 55 以上の異なる言語に翻訳されています。

この文書は、internationalisation (国際化; 通常 i18n と略されます) の手順について取り扱っています。 アプリケーション開発のこの段階で、開発者は、翻訳者を手助けし、 後で任意のメッセージの適切なロカールに対する翻訳版を表示するために必要なパーツを組み込みます。

プログラム内の任意のメッセージを他の言語に翻訳する手順は localisation (地域化; または l10n) と呼ばれ、[kmaraas] のような他の場所でカバーされています。

アプリケーションの国際化は二つの段階から成ります。 項2. 「翻訳のためのソースコードの準備 」 では、ソースコード全体に渡る翻訳のために文字列をマークアップする手順について順を追って行きます。 また、ビルドできるように保つために、 ソースコードに加えなければならない変更点についても言及するつもりです。 次のパート 項3. 「パッケージのビルドインフラに i18n [の仕組み]を取り込み 」 では、 Makefile や configure.in の変更のような、 アプリケーションのビルド手順の変更についてふれるつもりです。